2018年5月30日水曜日

合気道と怪我について

名古屋市役所合気道部のお知らせ(67)


合気道と怪我について

 合気道の稽古と怪我については以前にも少し触れたことがありますが、今回はパターンに分けて考えてみます。

1)準備不足
ア)身だしなみ : 例えば、手足の爪が伸びていると、自分で生爪を剥がすとか、爪を割るという怪我をします。また、伸びた爪で相手に傷を負わすこともあります。各々が稽古の前にきちんと手入れすることが大切です。また、指輪やピアスをしたままだと接触によって事故が起こりやすくなりますので、すべての装身具は稽古の始まる前に外します。さらに、着衣等の乱れが事故の元になることもあります。身だしなみをきちんとしておきましょう。

イ)準備運動の不足 : 準備運動不足が怪我に繋がることがあります。特に50代以降の稽古生は身体の各部の柔軟性が衰えてきますので、十分な準備運動が必要です。身体がほぐれていないまま稽古を始めると怪我をする可能性が高くなります。全身すべての柔軟性を高めておく必要があります。この道場ではじっくり15分ほど掛けてくまなく準備運動をしますが、これは全国的に見ても稀なことでしょう。

2)稽古中の怪我
ア)受け身の大事 : 受け身は個人差のある課題ですが、完璧を目指しています。受け身を軽んじてすぐに技の稽古に移るために道場での怪我が増えるのだと私は思っています。そのためにこの道場では、新入生にかなりしつこく基本の受け身を繰り返させます。受け身についての私の口癖は、「技は忘れても、受け身は忘れるな」です。本当に受け身は一生の宝になります。年老いた時に起こりがちな重大な転倒事故は受け身をしっかり身につけておけば(無意識に受け身が取れるほどに)、ほぼ100パーセント防ぐことができます。

イ)強引な稽古 :合気道の技には逆関節で攻める、関節可動域の限界を攻めるものも多いため、無理な力や過大なスピードで技をかければ当然のことながら稽古相手に怪我をさせることになります。特に初心者同士の稽古では自然と「力任せ」になったり、「我」を張り合うことになることが多いので、まずは相手を思いやる気持ちを持つことが大切です。合気道は強さを競う「スポーツ」ではありません。あくまで自己鍛錬と考えるべきです。そういう意味で、相手を思いやることもセルフコントロールの一環です。決して忘れないことです。

ウ)緊張感の途絶 : 主に疲労から緊張感が失われることがあります。ふとした気の緩みが受け身のタイミングや角度を狂わせ、怪我に繋がります。特に高温多湿の場合には熱中症などで朦朧としたまま稽古することが起こり得ます。無理をせず、早め早めに水分補給し、休みを入れるなどする必要があります。この道場では水分補給と休憩は基本的に自由です。体調が悪ければ自ら申告して稽古を休憩することも大切です。

エ)怪我をしやすい技 : 意外かも知れませが、関節技で怪我をすることは稀です。むしろ、深刻な事故が起きるのは四方投げです。後頭部を床に叩きつける瞬間があるからです。道場によっては四方投げの時にことさら激しく打ち付けるように指導している場合があるようですが、それは愚かなことですし、そもそも誤った指導法です。怪我の発生リスクはどんな場合も常に最小限にすべきです。「そんなことでは実戦に使えない」などと言う指導者のいる道場は絶対に敬遠すべきです。

3)稽古後の身体の手入れ不足
ア)クールダウンなど: 合気道の稽古は一見軽い運動に見えますが、実はかなりハードなのです。気をつけて稽古しても、関節、筋肉、腱などに相当な負荷がかかります。稽古が終わった時点で適度なクールダウンが必要です。また筋肉が相当緊張していますので、お風呂で軽く揉むなどして手入れしておくことです。

イ)治療 : 稽古後に身体各部に少しでも違和感があれば(痛み、腫れなど)、急性症状とみなして湿布しておくことです。大抵は一晩で改善します。もし、長く改善しない場合には整形外科医の受診も早めに考えましょう。手首、足首、肘、膝、腰などの腱や筋肉を稽古で痛めたと言っている人の多くは適切な初期治療をしていない場合が多いのです。


 以上、合気道で重大な怪我をしないことを念頭に書いてみました。あなたの参考になれば幸いです。

師範  白井敬二









6月の稽古予定表】

枇杷島スポーツセンター 第二競技場 午後615分〜715

6日、13日、20日、27(水曜日)



北スポーツセンター  第二競技場 午前10時〜1130
3(すべて日曜日)




*いずれの会場も稽古1回ごとに300円の会費をお支払いいただきます。枇杷島スポーツセンターでは、個人使用料200円が別途必要です。