こんにちは。もう1月も終わりです。今年は、能登半島地震、JAL機と海上保安庁機の衝突炎上事故など、波乱の幕開けでした。今後も気を引き締める必要がありそうです。
今回の主要記事は技術論です。
岡本眞先生のYouTubeビデオを学びの材料にしていることは以前の記事でお話ししました。私が彼の説明を好むのは、「気」とか「合気」を説明する時に精神論ではなく、筋肉や骨格、痛点、弱点の説明から入っているからです。しかし、実際に彼の技を真似てみると、それだけでは説明できないことにも気づきます。その時思い当たるのが、今回の表題です。順に説明してみます。
1、意識を消すこれはー体術のみならず剣術にも出てくる概念です。例えば、相手を打とうとした瞬間にその意図が伝わり、防御や反撃をされてしまいます。何で相手に自分の意図が伝わるかは、おそらく「予備動作」でしょう。微妙な目の動き、腕のこわばり、足の運び、息づかいなどが次の運動を予告するからです。名手は培った経験と観察力によって、ごく微妙な相手の予備動作を瞬間的に読み取り、的確に対処するので、100回戦っても100回勝てるのです。そして、それは、動き出す前の戦いですから、運動能力自体をいくら高めても意味がないのです。ですから、一切の予備動作を消し、勝手に身体が動くレベルにしておかないと、武術的には「間に合わない」ということです。柔術系の体術の場合には「接点」が生じていますので、予備動作が余計に相手に伝わりやすくなります。いかに相手の予想を外すかが相手を「崩す」ために必要です。力の方向、力の合成、時間差の利用が合気を習得するために必要になります。合気会系の合気技は体重や筋力、スピードに頼りますから、歳を取るととたんにできなくなるのは当然のことです。
2、等速度運動―これは民弥流の黒田師範が若い頃からさかんに稽古させていましたが、柳生新陰流の居合技「雷刀」でも、すべての所作を等速度運動でしかもゆっくりと行うという極めて困難な要求をしています。当然のこととして、技の「起こり」も消さなくてはなりませんから、身体の各部が存分にめいめいの働きができないとまともな技は実現できません。難儀なことです。そういえば、私が若い時にラスベガスで出会った空手の先生も十字受けをしている相手の腕を片手で下すという動作を予備動作なしの等速度運動によって実現していました。等速度運動が普通にできる人はそれだけで「達人」です。
3、筋肉のスイッチを切る―岡本眞先生は、接触合気をかけるときに、ロータリーカフの「スイッチを切る」というような表現で教えています。朝顔の手(龍ノ口)によって、相手の体に多方向の複合的な力を加えた上で、腕の重みを伝えて、相手の不安定さを引き出すために、ロータリーカフの筋肉の力を抜くというのがその真意でしょうが、具体的にロータリーカフの「スイッチを切る」やり方は教えていません。そこがキモだからでしょう。ちなみに腕の重さは3キロから5キロはありますので、ロータリーカフの筋肉が機能を極端に弱める(岡本先生は抜力と呼んでいます)と触っている(あるいは掴んでいる)相手にとっては、突然3キロ(あるいは5キロ)の鉄球が接触点に乗せられるのと一緒ですから、バランスが崩れるのも当然です。バランスを崩した相手は、「溺れるものは藁をも掴む」で仕手との接触点を維持したまま誘導され、動いてしまうということです。
さて、今までの話は、私が指導してきたごく少数の生徒たちに向けたものです。他にも技法はいろいろありましたが、一番難しい「離れない手」を実現させるための一助になればと思い、書いてみました。参考にしてください。
今回はここまでです。
お元気にお過ごしください。
師範
白井敬二
【2月稽古予定表】
枇杷島スポーツセンター 第2競技場 午後6時00分〜7時00分
14日、21日、28日
スギ薬局知立市福祉体育館 午後3時〜4時30分
7日
北スポーツセンター 午前9時〜11時30分
NASPAスタジオ
4日、11日、18日、25日
【重要】(入会について)
今後1年間、新規の稽古生の応募を取りやめます。世話役のあなたにお願いします。名古屋市の職員向け冊子内の案内もストップして下さい。
問い合わせなど
(メールアドレス)white1000million@gmail.com