2024年6月1日土曜日

雑感「勝つことについて」

こんにちは。今回はアラカルト的なお話しです。以前のお話と一部重複しますが、ご容赦ください。


合気道は基本的に自分が速く、強く、正確に動いて相手を動かし、あるいは相手の攻撃を避けて技をかけます。それは相手に自分の身体(着衣も含めます)の一部を持たせるか否かによる違いです。そして、合気道は一般的に本当に強く早い突きやパンチ、斬りに対する稽古をしません(怪我防止のためです)ので、早いパンチや蹴りでいろいろな角度から攻撃されると一瞬に倒されてしまいます。それは、稽古の目的と方法が試合や実戦に沿ったものではないからです。それで、昔から喧嘩に手っ取り早く強くなりたいなら、打撃系を習いなさいと言われる所以です。ですが、基本的に打撃系のスポーツには体重による階層があります。それほど、打撃と体重には相関関係があるのです。大きく、重いものの打撃力の方が小さく、軽いものの打撃力よりも破壊力が大きいことは物理学を持ち出すまでもなく、常識です。いじめっ子は大抵身体が大きく、腕力が強い所以です。


では、小さく、力の弱い者は常に虐待される側かといえばそうではありません。大きく、力が強い者に小さく、力の弱い者が勝つ方法はいくつもあります。勝つという言葉を戦略的にまで拡大すれば、相手に殴らせ(蹴らせ)、法的制裁を与えることも勝つための手段に入りますが、たまには自分が死んでしまうこともありますので、お薦めはできません。広義の意味で「安全に勝つための秘訣」をひとつ語るとしたら、それは「逃げる」ことです。100メートルを13秒くらいで走れれば、ほとんどどんな暴漢からも逃げられます。しつこい相手もいるかも知れませんので、200メートルを30秒ほどで逃げる訓練をしましょう。年齢が若ければ、そして身体に何か疾患を抱えていなければ、一番手っ取り早い「勝つための秘訣」の獲得方法です。なお、効率的な走り方はYouTubeでも探せます。

いやいや、そんな消極的な逃げの方法など真平だという方にお聞きしますが、「あなたに覚悟はありますか?」つまり、長い時間、痛みに耐え、罵声を浴びながら、体力を目一杯使い、怪我をする危険性も受け入れて稽古しますか?ということです。そして、それでも、自分の1.5倍の大きさがあり、2倍の体重を持つ相手には、対等に戦えば、ほぼ勝てません。それも含めて受け入れられますか?とお聞きしています。


もう一つ、別の視点を提示します。対等に戦うという前提を放棄すれば、あなたは大抵の相手に勝てます。つまり、武器を使うわけです。もちろん、使い方の修練は必要です。しかし、肉体を鍛えるよりははるかに楽でしょう。でも、ここで一番大きな問題は「違法性」を問われることです。簡単に言うなら、素人が出刃包丁を持ち歩けば、それだけで銃刀法違反です。ましてや、それで人を刺せば、相手との戦いには勝てるかもしれませんが、あなたは刑務所に入ることになります。それでは戦略的な敗北です。武器になるものの種類は5万とあり、相手に致命的な負傷をさせないものもありますが、日本では武器を使ったときに「正当防衛」がほとんど認められないことを覚えておいてください。そういうリスクを冒してでも相手に勝ちたいですか?と改めてお聞きします。イエスなら、方法は自分で探し、それを自分で訓練して下さい。YouTube で「自己防衛 武器」で検索すれば(英語のSelf Deffence Weapon の方がたくさん出てきます)、すぐ出てきます。


ここでまた、消極的手段に戻ります。昔から高名な武術家は平時においては、むやみに人と争うなと教えています。争いの種となるような言動・行動を慎み、失礼で不当なことを言われてもやり過ごし、相手に敵意を持たせないようにしなさいと教えています。先に「逃げる」という物理的な勝ちを収める方法を提示しましたが、こちらは精神的・心理的な勝ちを収める方法です。


何を口先ばかりの戯言を、と思われたかも知れません。しかし、合気道や合気の術、その他武器技を稽古していて最近よく思います。稽古の相手をしてくれている人には感謝するばかりです。稽古は信頼がなければ成立しません。相互的に技や肉体の状況が向上していることを確認する共同作業です。そんな相手に恵まれたことを感謝しないで、何が稽古でしょうか。勝ち負け、優劣を競い合う稽古は下の下のように思います。



今回はここまでです。


熱中症にご注意ください。



師範


白井敬二

 



 

 

【6月稽古予定表】


 

・枇杷島スポーツセンター 第2競技場 午後600分〜700

19日、26日


 

 

・スギ薬局知立市福祉体育館 午後3時〜430

 

5日、12日

 

 


 


 

北スポーツセンター 午前9時〜1130 


・北スポーツセンター 第二競技場

9日、16日


 

 

・北スポーツセンター NASPAスタジオ

 

23日、30日

 

 

 

 

【重要】(入会について)

 

   2024年12月まで、新規の稽古生の募集を一時ストップします。現在進行中の上級者向けの稽古が一段落するまでの措置です。

 

問い合わせなど

 

(メールアドレス)white1000million@gmail.com