こんにちは。
何について書こうかと昨日から考えてきましたが、岩田先生とのエピソードを少し書いてみます。
白道(びゃくどう)に関連したことです。
この言葉は、入門してしばらく経ってから、先生が弟子の前で長い話をされていたときに初めて伺ったと記憶しています。
文脈からして、それまで築きあげてきた技の体系を捨て去り、あらたな術理を打ち立てるという意味で白道という言葉を使っていたことは間違いありません(辞書を引いても出て来ない意味です!)。
「ある時、急に技が相手に効かなくなった。それで、一から考え直して、効く技の体系を作り上げたのだよ。これを白道(びゃくどう)と言うのだよ」というようなお話でした。それについての詳しいお話(何歳頃に、どんな相手に、どんな技をかけた時かなど)はありませんでした。
しかし、それまでの先生の教授内容からして、一つは「てこ」の原理を中心としたものだということは明らかでした。小柄で力の弱い人が大きな強い人に技をかけるにはてこの原理を使うことが大切だ、というような話は常々聞いていました。例えば、二教や五教の裏技で回転する時に相手の肘を自分の腰につけて、てこをかける(やったことのある人ならすぐわかりますね)というような場面です。実際、30Kgくらいの体重差ならこの技術で十分動きます。
もう一つ印象的に覚えているのは、「同時に」という言葉です。「〜をしながら、〜もする」みたいな意味です。「一、二、ではなく、一でやるんだよ」といろいろな技をする際に教えていただきました。複数の筋肉を同時並行的に使うと言えばわかりやすくなるでしょうか?実際のところ、人間の日常動作はいろいろな動きが同時並行的に組み合わされて成立しているのですが、合気道の技をかけようとすると一つ一つの動作に気を取られ、ギクシャクすることがよくあります。それを流れるように一気に達成することを稽古で要求されました。
さらに思い出すのが、動きを止めないということです。ほんの僅かずつでもずっと動き続けていれば、相手は抵抗しにくいが、いったん動きが止まればその時に反撃を受ける、という説明でした。これは剣の世界で有名な先生が語っている「等速度運動の原理」に近いものです。岩田先生から棒術で相手を倒すのに棒を回転させることで倒すという教えを受けた時にはとても新鮮でした。
加えて「気」を大切にされていたことも印象深く覚えています。気などというと神秘的に聞こえるかも知れませんが、自分の体勢を整え、相手の動きに即応できる精神状態から、爆発的かつ一点集中的な力を相手に加えると言えばわかりやすいでしょうか。
訳のわからないことを並べて、と思われたかも知れませんが、なるべくわかりやすく噛み砕いたつもりです。岩田先生はいつもそこまで詳しくはお話しされず、できないと顔をしかめられていました。「武道には天才が必要だよ」とよく言われていましたから、「技は盗むもの」という教えだったのでしょう。私は出来の悪い弟子で時には叱責もありましたが、今になれば懐かしい思い出です。
では、今回はここまでです。
寒さが今後一層厳しくなります。どうかご自愛ください。
白井敬二
【12月稽古予定表】
枇杷島スポーツセンター 第2競技場 午後6時00分〜7時00分
7日、14日、21日
北スポーツセンター 第二競技場 午前10時〜11時30分
4日、11日、18日、25日
【重要】(入会について)
見学、お試し期間を経て、師範から正式に入会を許可され、入会申込書を提出して、正式な部員になります。まずは見学からどうぞ。
枇杷島スポーツセンターも北スポーツセンターも健康維持の目的で参加される「素直で攻撃的性のない」方を歓迎します。
見学希望者は、 師範の白井敬二まで連絡いただければ幸いです。その際には、件名を「合気道」とお書きください。所属と、氏名、電話番号も明記してください。なお、返信メールが着信拒否で届かない(電話も受信拒否設定)場合があります。私からの返信メールや届くように(電話がかけられるように)しておいてください。
護身術の個人指導も受け付けます。まずは連絡して下さい。
(メールアドレス)white1000million@gmail.com