2025年11月29日土曜日

私の稽古時代(6)稽古と怪我

 先回の記事の終わりで、ケガのことを書きました。今回はもう少し詳しく書いてみます。


かつては武道・武術の稽古に怪我はつきものという風潮がありました。私の師匠の岩田一師範も植芝盛平師に鎖骨を折られたことがあったと語っていました。「(植芝氏は)恐ろしい人だった」とも語っていました。どんな状況だったかは詳しく語りませんでしたが、初期の植芝道場の稽古の厳しさを感じます。


 

さて、私自身は稽古中に骨折など大きな怪我をしたことはありません。元々腰痛を改善しようとして始めた合気道ですから、怪我ばかりしていたらすぐやめていことでしょう。そういう意味では、入門当時に岩田師範がすでに70代後半になっていて随分と稽古内容が優しくなっていた(と古くからのお弟子さんたちに聞きました)ことも幸いしました。ただし、二教の極め技などは肩が外れるかと思うほど厳しく極められました。甘い技をかけると弟子が舐めると岩田師範は思っていたのだと思います。でも、後遺症が残るようなことは一切ありませんでした。絶妙のポイントで技を止めていたのでしょう。弟子の限界を見極めることも、優れた指導者に必要な資質です。


 

とは言うものの、長いこと稽古を続けていますとよく使う靭帯などに蓄積疲労が起きます。私の場合、右肘が内側に湾曲して真っ直ぐに伸びません。これは日常生活に影響を及ぼしません。しかし、10年くらい前から発生し始めた右肩の痛みは就寝時にも感じるため、QOLを下げています。数年前から多くの整形外科、接骨院を梯子しましたが、レントゲンやMRIで調べても痛みの原因や場所の特定さえできない有様です。現代医学の限界を感じます。現在はスポーツ医学を標榜する整形外科に通っていますが、成果は未定です。まあ、動けば良いと割り切るくらいで良いのでしょう。

 

以前にも書きましたが、合気道の稽古も瞬発的な荷重によって筋肉や腱に負担をかけますから、長い目で見て準備運動や整理運動は不可欠だと思います。特に整理運動を5分やるだけで適切にクールダウンができ、翌日の筋肉痛がぐっと減ります。長期的な効果は言うまでもないでしょう。


 

最後に、少し居合の話をします。私は約20年前から居合の稽古を始めましたが、始めて1年後には真剣を使うようになりました。現在も真剣を使っての稽古です。真剣でなければ本当の居合の稽古にならないと考えたからです。大きな投資でした。そして、触れれば切れる真剣ゆえに何回か怪我をしました。縫うことが必要なほどのケガは2回です。誤って刃を握ってしまう(押し付けてしまう)事故は時々起こります。刀剣好きの前田日明は刀の手入れをしていた時に、親指が落ちそうになるほどの怪我をしたそうですが、それは彼の怪力ゆえです。刀剣を扱う時に精神の集中を切らすことは命取りになりかねません。




師範


白井敬二



(PS)名古屋市役所職員の方は日曜日の稽古に参加してください。平日は忙しくて無理でしょうから。



(参考)



1)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 徒手


2)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 対武器


3)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景(3)武器対武器






【12月稽古予定表】


 

・枇杷島スポーツセンター 水曜日 夜 第2競技場 午後600分〜730

3日、17日


 

 

・スギ薬局知立市福祉体育館 水曜日 午後 柔道場 午後3時〜430

 

10日、24日



 



 

 

・北スポーツセンター 午前10時〜1130 



改修工事のため2025年12月から2026年3月まで使用不可のため、一時的に以下で稽古します。





北生涯学習センター和室 午前10時〜1130 


7日、14日



北生涯学習センター 第1集会室 午前10時〜1130 

 

21日


 

*稽古代はどこでも一回1,000円です。入会金はありません。

 

 

【重要】(稽古生の募集)

 

   新規稽古生を募集中です。特に護身術として合気の術を学びたいという女性を1〜2名募集します。一回だけの稽古でもOKです。参加希望者は事前に白井までご連絡ください。以下のアドレスです。氏名、武道歴など教えてください。なお、当方からのメールが受信できるようにしておいてください。


h10zpg9ea5@hi3.enjoy.ne.jp


2025年10月30日木曜日

私の修行時代(5)居合道との出会い

先回の記事で2002 AIKI EXPO ラスベガスのことを書きましたが、帰国後少しして居合道を始めました。岩田師範に習った合気道の剣術が柳生新陰流(尾張柳生)由来のものだったのですが、剣をもっと深く学びたいと思いました。当時たまたまYouTubeで観た居合の黒田鉄山師範の動きに憧れの念を抱いたのが直接のきっかけでした。一度は彼の道場に見学にも行きました。見えない動きを目の当たりにして、自分もできるようになりたいと思ったことを今でも覚えています。

 

たまたま地元の知立市に柳生新陰流居合を教えていた鈴木安近師(故人)がいましたので、入門しました。1年ほどは鈴木師範の家の道場に通っていたのですが、ある時私が岩田師範のことをさかんに語ると機嫌を悪くし、破門になりました。どうしようかなと思っていたのですが、鈴木師範が通いで教えていた別の人の道場があったので、そちらに素知らぬ顔で入門しました。鈴木師範も何事もなかったかのように応対してくれました。

 

鈴木師範の教えは昔ながらの「観て覚えろ」方式でした。褒められたことは一度もなかったように記憶しています。とにかく厳しい教え方でした。彼が習った鹿島清孝師範の教え方を受け継いでいたのでしょう。あまり覚えの良くない私は技の名前が覚えられず苦労しました。技の名前が完全に覚えられたのは人に技を教えるようになってからのことでした。数年習ったところで、鈴木師範が胃がんを発症し、亡くなり、2014年頃、それまで通っていた道場を辞めました。ちょうど退職した時期でアンゴラに地雷の調査に出かける直前でした。

 

居合を習って合気道にどう活かせたかと問われると、直接的に役立ったことはないと答えています。両者はまったく別物です。しかし、最近柳生新陰流の柄の持ち方に「合気の術」につながる秘密(大袈裟です)があることがわかりました。柄を持つときに親指と人差し指で「龍ノ口」を作るのですが、その意味がわかったということです。小指球筋を使う刀の操作により合気をかけられるのです。

 

私は居合を始めて2年目には真剣を使い始めました。これまで20年ほどずっと真剣を使ってきた中で、3度怪我をしました。そのうち外科で縫ってもらうような怪我は2回です。よく切れる刀は切った刹那に血が流れません(大動脈を切れば別でしょうが)。少し経ってじわりと血が出てきて、その後かなり激しく出血します。そんな経験から止血の方法も学びました。ともかく、真剣を使うことで緊張感が身につきます。気を抜いて刀の操作をするとすぐ怪我につながることが身を持って経験できています。もう一度大きな怪我をしたら居合も終了にしようと思っています。居合は全身の筋肉を瞬時に使う必要がありますので、年齢的な限界があります。その日をいつまで先送りできるかが目下の私の課題です。ちなみに私の居合術は2名の優れた弟子たちに受け継がれていますので、私はいつでもリタイアできます。

 

今回は居合に関連した話をあれこれしました。YouTubeに私が上げた居合の教材が数十本あります。興味があったら「柳生新陰流居合」で検索してみてください。習ってみたい人は連絡してください。折り合いがつけば前向きに考えます。

 

 

今回の記事はここまでです。

 

 



師範


白井敬二



(PS)名古屋市役所職員の方は日曜日の稽古に参加してください。平日は忙しくて無理でしょうから。



(参考)



1)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 徒手


2)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 対武器


3)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景(3)武器対武器






【11月稽古予定表】


 

・枇杷島スポーツセンター 水曜日 夜 第2競技場 午後600分〜730

なし


 

 

・スギ薬局知立市福祉体育館 水曜日 午後 柔道場 午後3時〜430

 

12日、26日


スギ薬局知立市福祉体育館 水曜日 午後 剣道場 午後3時〜430


5日、19日

 



 

 

・北スポーツセンター 午前10時〜1130 


 

・第2競技場


23日、30日



・NASPAスタジオ

 

2日、9日、16


 


 

*稽古代はどこでも一回1,000円です。入会金はありません。

 

 

【重要】(稽古生の募集)

 

   新規稽古生を募集中です。特に護身術として学びたいという女性を1〜2名募集します。一回だけの稽古でもOKです。参加希望者は事前に白井までご連絡ください。以下のアドレスです。氏名、武道歴など教えてください。なお、当方からのメールが受信できるようにしておいてください。


h10zpg9ea5@hi3.enjoy.ne.jp


2025年10月1日水曜日

私の修行時代(4)2002 AIKI EXPO ラスベガス

当時愛読していたAIKIニュースにラスベガス・ネバタ大学のキャンパスで2002.5.35の予定で2002 AIKI EXPO ラスベガスが開催されると記事がありましたので、早速申しみしました。AIKIニュース社に連絡しても正式な受付は現地でという返事でした。ともあれ、航空券を予約し、ホテルをネットで予約しました。ネットも今ほど便利ではなく、結構苦労しました。条件が合わずにせっかく予約したホテルをキャンセルして、別のホテルを予約しました。

 

国際線でサンフランシスコに到着し、国内線に乗り換えました。2001911日のアメリカ同時多発テロ事件から半年少しで、国内線の警備は厳重でした。道着の入ったバッグを開けられパンツも1枚ずつピンセットで取り出され検査されました。靴ももちろんです。検査区域は長蛇の列でした。しかし、誰一人として不平や不満を漏らす人はいなく、静まり返っていました。

 

ラスベガスの空港についてホテルに向かいましたが、リムジンバスは大きなホテルの前までです。プリントアウトした地図を片手に予約したホリデイ・インを探し、ネバダ大学から10分くらいのところにあるのを見つけました。予約したと言っても、カウンターの若いイケメン社員が、予約が入っていないと言います。いや確かに予約したと言って予約画面のコピーを見せました。しかし、私の名前がないのです。押し問答のうちに私が一件の予約をキャンセルしたことを聞き出した彼が説明しました。ラスベガスのホテルの予約ネットワークはどこかのホテルの予約をキャンセルすると全ての予約がキャンセルされるというのです。そんなアホな、と思いましたが、ともかく泊まれなくては話になりません。空き部屋がないかと交渉するとありました。予約時よりも少し高かったのですが、なんとか部屋に入れました。

 

まだ明るい時間だったので、会場のネバダ大学までの道のりを確認しておこう思い、外出しました。5月だというのに日差しが強く、帽子とサングラスを持ってこなかったことを後悔しました。近道らしきものと売店を見つけ、早めに帰宅しました。翌朝、朝食会場に行くと軍服姿の若者が大勢います。どうやら近くに基地があって、訓練で他所から集められた兵士の臨時の宿舎になっているようでした。よくあることだとホテルの従業員が言っていました。

 

定刻前にネバダ大学の受付(外でした)を済ませました。全米の合気道家が集まるというだけあって多くの道義姿の人々がいました。当時の記事をネットで探したところ、参加した先生方は以下の通りです。

 

 

⚫️井上強一 養神館本部道場長 合気道9段

⚫️近藤勝之 大東流合気柔術本部長

 ドン・アンジェ 柳流合気柔術

⚫️宇城憲治 沖縄古伝空手心道流師範 教士7段

⚫️フランク・ドーラン 合気会7段

 池田裕 合気会7段

 歌田行男 養神館合気道7段

 パトリック・オージェ 養正館合気道7段

 ピーター・ゴールズベリ 合気会6段(国際合気道連盟理事長)

⚫️パット・ヘンドリックス 合気会6段(岩間)

 

 

⚫️をつけた先生のセッションに参加しました(忘れているものもあると思います)。うすら覚えですが、各セッションは90分だったと思います。それぞれのクラスの内容はあまり詳しく覚えていませんが、印象的なものだけを書き出します。

 

・突然近づいてきた宇城憲治先生の寸勁をくらい、その日の夜痛みで眠れませんでした。

・ピーター・ゴールズベリ先生の入見からの首投げで首の骨がゴキゴキ鳴りました。

・パット・ヘンドリックスの弟子に反撃を喰らいやすい位置にいると注意したら、その弟子が彼女を呼び、彼女から口撃を受けました。

・宇城憲治、井上強一、近藤勝之、主催者のスタンレー・プラニンのテーブルを囲んだ会談を目撃しました。和気藹々としていました。

 

何はともあれ、参加者たちの体力にびっくりでした。スケジュールがみっちり組まれていて、各セッションの移動時間が10分ほどしかありませんが、次々と稽古をこなしていました。昼休みは30分でした。私が横になっていると主催スタッフがもう次のセッションが始まると急かしてきます。午後5時頃に1日目が終了した時にはヘトヘトでした。40代後半の鍛えていない男には厳しすぎるスケジュールでした。スケジュール表を見ると夜間の特別稽古や交流会も連日予定されていました。私は一回だけパーティに参加しましたが、あとはスルーでした。疲れ果てていたからです。ともかく、ホテルに帰ると簡単な食事をしてシャワーを浴びると痛みのあった日を除き、バタンキューの爆睡でした。

 

 

合同の稽古会でしたが、各道場の生徒たちが全員参加する合宿会のような雰囲気で、よそ者には馴染めない雰囲気がありました。彼らの気迫はいずれ自分も合気道の指導者になるという目的意識から来ていたのだろうと思っています。アメリカのような銃の蔓延している国で合気道のような型稽古しかしない武道が受け入れられること自体不思議なのですが、多様性があるのです。ものすごく実戦的で妥協を許さない人たちがいる反面、ものすごく素直で純粋な人たちもいるのです。彼らは強依存で、権威に弱いのです。信じやすいのです。そんな体質の人たちには宗教と同じで、合気道も馴染みやすいのです。もちろん権威には実力も必要です。だから、その実力を得るために優れた指導者の元に多くの弟子が集まるのです。そんなアメリカの複雑な社会構造を再確認した講習会でした。

 

 

帰国の際の記憶はあまりないのですが、ラスベガス空港の検査が一段と厳しかったことだけを覚えています。検査員の顔つきがひどく交戦的で厳しかったのです。

 

 

 

今回はここまでです。



師範


白井敬二



(PS)名古屋市役所職員の方は日曜日の稽古に参加してください。平日は忙しくて無理でしょうから。



(参考)



1)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 徒手


2)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 対武器


3)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景(3)武器対武器






【10月稽古予定表】


 

・枇杷島スポーツセンター 水曜日 夜 第2競技場 午後600分〜730

1日


 

 

・スギ薬局知立市福祉体育館 水曜日 午後 柔道場 午後3時〜430

 

日、22日


スギ薬局知立市福祉体育館 水曜日 午後 剣道場 午後3時〜430


15日

 



 

 

・北スポーツセンター 午前10時〜1130 


 

・第2競技場


なし



・NASPAスタジオ

 

5日、12日、19


 


 

*稽古代はどこでも一回1,000円です。入会金はありません。

 

 

【重要】(稽古について)

 

   新規稽古生を募集中です。特に護身術として学びたいという女性を1〜2名募集します。一回だけの稽古でもOKです。参加希望者は事前に白井までご連絡ください。以下のアドレスです。氏名、武道歴など教えてください。


h10zpg9ea5@hi3.enjoy.ne.jp

2025年9月7日日曜日

【号外】半休を取れば良いでしょう!

 たまには私に顔を見に来るのも良いでしょう?以下の講座の参加者募集中です。



刃物攻撃にも生き延びる!

—2025テロ対策講演会 8—


 また痛ましい刺殺事件が起こりました。マンションのエレベーターで男に刃物で何度も刺されて死亡した女性のニュースは衝撃的です。法務省の統計によれば、日本における年間1000件余りの死傷事件で刃物の使用率は50%以上(H23)ですから、毎日1件以上の発生率です。銃器が厳しく規制されている日本です。この比率は今後も変わりません。発作的な犯行にせよ、計画的な犯罪にせよ、あなたが刃物事件と生涯無関係のまま過ごせるか、怪しい状況です。今回の講演会はあなたが刃物事件に遭遇しても生き残れるようにするための訓練の機会です。あなた自身が、又はあなたの大切なお子さんが殺傷事件に遭うのではないかと不安があるなら、是非ご参加ください。よくある護身術教室とは違い、武道経験などまったくなく、運動能力にも自信がないあなたのための個人指導に近い(参加者2名のみ)講習会です。危機に対する正しい対処法を身につければ、より安全・安心な生活が実現できます。あなたの年齢、体力、気力に合った個別指導を行います。生涯役立つ技術が身につき、安全が得られます。今すぐお申し込みを。


講師    セイフティ・アドバイザー  白井敬二


日時    2025年9月15日(月)、16日(火)、18日(木)、20日(土)、26日(金)、30日(火)のいずれかで、あなたの都合の良い日  時間はいずれも午後1時〜3時


開催場所  名古屋市北スポーツセンター 第二競技場

      名古屋名古屋市北区成願寺1丁目6番12号


費用    2,000円(会場にて徴収、護身機材代金を含む)


定員    一回につき2名(先着順)


資格    18歳以上


申込方法 以下メールアドレスに希望日の前日までに事前申込(件名:講習会参加希望、本文:氏名、希望日(複数可))


問合せ先 eメール h10zpg9ea5@hi3.enjoy.ne.jp



(講師プロフィール)


安全・安心研究会代表。セイフティ・アドバイザー。国内・国外のリスク回避の知識に精通。主に名古屋市内でテロ対策講演会、護身術セミナーを10年以上に渡って開催。催涙スプレーインストラクター。イスラエルバンデージ講師。武道指導40年以上(合気道、居合道)。HP(セイフティ・アドバイザーの部屋)も運営。http://gutfeeling.sakura.ne.jp



【講習会内容】


1、 講座 ― 刃物対策の基本概念と構想

2、 講習1― 基本の身ごなし「入り身」の練習

3、 講習2 ―反撃し、逃げ出す 持ち物の利用

4、 講習3 ―羽交い締めなどから逃れる技術

5、Q&Aの時間


*当日は運動のできる服装を別にご用意ください。水分補給も必ず必要です。追加の講習も可能です。必要のある方は逐次ご相談ください。


2025年8月30日土曜日

私の修行時代(3)

先回の記事では私が感じていた合気道の技の限界について書きました。そりゃ、お前の鍛錬が足りないからだよ、と言われればそれまでです。しかし、それでは、合気道は「常に相手に勝たねばならない」という自己矛盾に陥ります。合気道は争わない平和の武道という曼荼羅は怪しいモノだと思っている人は多いでしょう。実際その通りです。ですが、この件については、今回はこれ以上述べません。

 

さて、今回はそれに関連する思い出話です。私が合気道を始めて数年経った頃に日系ブラジル人が入門しました。そのうちの一人がPSで、当時二十歳くらいでした。180cm80kgのハンサムな男でした。素直な性格でメキメキ上達しました。私もできるだけ彼の手助けをしました。私は彼と気が合い、私的にも交友関係を結びました。彼は数年で帰国しましたが、帰国後にブラジルで道場を開きました。IWATA-SHIRAI DOJYOと名付けてくれました。警察や軍隊でも実戦的な合気道を教えていました。彼がいなければ、私がブラジルを訪れることもなかったでしょう。

 

しかし、2回目に彼を訪問した時に彼の妻から衝撃的な話を聞きました。彼が道場で武器技の指導中に警察官の弟子が突いた警棒が彼の右目に当たり、眼球破裂で片目の視力を失ったというのです。その時の詳しい話は本人から聞いていません。その後道場経営がどうなったかも知りません。ともかく、ブラジルでは弟子も稽古で本気で攻撃してくるということがわかっただけです。その話を聞いた時、彼に申し訳ないことをしたように思いました。自分の道場とはいえ、決して油断をしないようにと強く言っておくべきだったと思ったのです。彼が経験した一宮道場の稽古は互いに遠慮する(相手に怪我をさせないという)気持ちが常にありました。それが、仇になったのかもしれません。

 

相手が何をしてくるかわからない、という気構えであなたは稽古をしていますか?合同稽古に臨むと時折そういう危ない輩に出会います。黒帯になると特にそれを感じるかもしれません。厳しい言い方ですが、油断をすれば片目(片腕かも)を失うかもしれないという覚悟で稽古をして、初めて実戦的な稽古になります。護身術の手段として合気道を考えているなら、余計にその心構えが必要です。お互いに怪我はしたくないものですが、ギリギリのせめぎ合いもしておかないと本当に身を護れる稽古にならないというお話しでした。

 

 

 

 

今回はここまでです。



師範


白井敬二





(参考)



1)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 徒手


2)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 対武器


3)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景(3)武器対武器






【9月稽古予定表】


 

・枇杷島スポーツセンター 水曜日 夜 第2競技場 午後600分〜730

3日、10日


 

 

・スギ薬局知立市福祉体育館 水曜日 午後 柔道場 午後3時〜430

 

17日、24日

 



 

 

・北スポーツセンター 午前10時〜1130 


 

・第2競技場


14日、28日



・NASPAスタジオ

 

7日、21

 


 

*稽古代はどこでも一回1,000円です。入会金はありません。

 

 

【重要】(稽古について)

 

   新規稽古生を募集中です。特に護身術として学びたいという女性を1〜2名募集します。一回だけの稽古でもOKです。参加希望者は事前に白井までご連絡ください。以下のアドレスです。氏名、武道歴など教えてください。


h10zpg9ea5@hi3.enjoy.ne.jp




 

 

2025年7月30日水曜日

私の修行時代(2)


 先回の記事で私が合気道を始めたきっかけがひどい腰痛だったことを書きました。しかし、実を言うともう一つ理由がありました。それは、私が小柄で暴力的で大きな人間に対して恐怖感を持っていたことです。それは高校生時代の通学電車でいじめを経験したことに発し、仕事でヤクザに直面する機会があったことにも影響されています。ともあれ、その恐怖感を合気道(小が大を制する!)でなんとか克服できないかと思ったからです。結果を言いますと、目論見は見事に外れました。むしろ、臆病さは増長されました。と言うのも、稽古を重ねれば重ねるほど、物理学(威力=スピード×体重)の法則がのしかかってきたからです。それでも若い頃(すでに30歳を超えていましたが)にはある程度スピードで誤魔化すことはできました。

 

ということで私が得意にしていた技の話です。小手返しと四教です。小手返しは相手の手を掴んでから回転して相手を倒す(投げる)までの時間をできるだけ短くするように自分なりに工夫しました。それで、かなり大きな相手にも対応できると思っていた時期がありました。しかし、相手がその気になればいろいろと逃げる手段があることもわかってきてがっかりしたものです。四教も相手の痛点を人差し指の付け根の骨で簡単に抑えられるようになるとかなり効く技がかけられるようになったと思いました。しかし、ひどく太い手首の持ち主や長く稽古している相手には痛点の痛みが耐えられてしまうこともわかりました。それで体重を増やすとか、握力を強化するなどに取り組みましたが、限界がありました。黒帯になる頃はひたすら相手を痛めつけて技を効かそうと考えていました。だから、余計に体格差、腕力差を強く感じました。今のようにYouTube でいろいろな流派のやり方が簡単に観られる時代ではなかったので、師範や先輩のやり方を真似るしかありませんでした。当時根本的な解決策は見つかりませんでした。そういえば、解決策が見つけられなかった技の一つに「合気上げ」があります。講習会などで大きく強い相手にグイと手首を捕まれ、全体重をかけられると道場とは違って両手が上がらないということが何度もありました。この点を師匠に尋ねても明確な答えは得られませんでした。良くて、「気が出ていない」という曖昧な答えでした。もう一つ顎を掌底で押し上げる入り身の技も、相手に顎を引かれグッと踏ん張られるとなんともならないことがありました。講習会ではきまりが悪いものです。私も同様にお返しをしましたが、後味は悪かったですね。これについては、後日先輩に尋ねたことがあります。その暴力的な先輩曰く、「鼻の両穴に指を突っ込んで奥まで進めれば良い」「両目に指先を突き入れれば良い」という荒っぽい答えでした。臆病な私には実行できない手段でした。

 

上記については今ではそれぞれ別の解決策を見つけましたが、どんな方法にも絶対はないのでこれからも研究を重ねるだけです。

 

 

今回はここまでです。



師範


白井敬二





(参考)



1)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 徒手


2)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景 対武器


3)北スポーツセンター合気道教室および名古屋市役所合気道部稽古風景(3)武器対武器






【8月稽古予定表】


 

・枇杷島スポーツセンター 水曜日 夜 第2競技場 午後600分〜730

6日、13日


 

 

・スギ薬局知立市福祉体育館 水曜日 午後 柔道場 午後3時〜430

 

20日、27日

 



 

 

・北スポーツセンター 午前10時〜1130 


 

・第2競技場


3日、24日



・NASPAスタジオ

 

10日、17日、31

 


 

*稽古代はどこでも一回1,000円です。入会金はありません。

 

 

【重要】(稽古について)

 

   新規稽古生を募集中です。一回だけの稽古でもOKです。参加希望者は事前に白井までご連絡ください。以下のアドレスです。氏名、武道歴、段位など教えてください。


h10zpg9ea5@hi3.enjoy.ne.jp